この記事では、音大生・音楽家が、確定申告でできるだけ得するように、損しないように、”確定申告の基本”や”確定申告とは何なのか?”について、わかりやすく説明していきます。
目次
1 確定申告の得するポイント・損しないポイントをおさえよう
まずはじめに一番大事なところ、何はさておき、音大生・音楽家が確定申告で得する・損しないポイントだけはおさえておきますね。
まずはこの、1.だけは読んでおいてほしいです。(なんなら、2.以降は読まなくても大丈夫です)
1-1 あなたは確定申告をやらなければいけない人なのか?
まずは、”どんな人が確定申告をする必要があるのか?”を知っておきましょう。
これを知っておけば、
- ”やる必要があるのにやらなかったことで、あとから何年分も税金を払うことになる”という、とてもショッキングな事態を防げる。
- 自分が”確定申告をやらなくていい人”なら、不安をかかえることなく、堂々と安心して過ごせる。
- まわりの音大生・音楽家の仲間に教えてあげれば、かなりありがたがられる。
ということになるからです。
1-2 確定申告をする必要がある人とは?
確定申告をする必要がある人の条件はいくつもあります。
基本的には、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得という、10種類の所得がある人が”確定申告をする必要あり”ということになります。
ちなみに”所得”とは”もうけ”のようなもの(収入から経費を差し敷いた引いたイメージ)だと思っておいてください。あとから、2.で、もう少し詳しく説明します。
この中で、音大生・音楽家に関係する所得は、ほとんど事業所得と給与所得に限られるようです。
事業所得とは、音楽活動によって得られるものと思ってください。
演奏料・ギャラ・謝礼・講師料などが代表例といえます。
そして給与所得とは、”お給料・アルバイト代”などのことです。
- 会社などで”お給料”をもらいながら、演奏活動もやっている
- 演奏活動をしながら、”アルバイト”もやっている
といったケースが多いようです。
もちろんほかの所得がある方もいらっしゃるとは思いますが、オンカクでは、”音楽活動に直接関係する所得”や”音大生・音楽家の多くが関わってくる所得”に焦点をあてたいと思っていますので、どうぞご了承ください。
1-3 音大生・音楽家の中で、確定申告をする必要がある人とは?
というわけで、ここでは音大生・音楽家によくあるパターンにしぼって書いていきます。
こうなると、確定申告をする必要がある人は、次のとおりです。
- 給与所得以外に副収入があって、その所得だけで20万円を超える人(金額的に、メインが給料で音楽がサブの人のうち、音楽のもうけが20万円を超える人というイメージです)
- 2ヶ所以上の会社から一定額の給与をもらっている人
- 事業所得が38万円を超える人(音楽活動のもうけが38万円以上ということ)
この3つの条件を満たす人は、確定申告をする必要があるということになります。
逆に言えば、この条件に当てはまらない人は、”確定申告をしなくてもいい”ということになりますね。
1-4 ”お金が得する例外”がある
ところが、確定申告をしなくてもいい人の中には、
”確定申告をすればお金が得する”
という人がいるのです。
”源泉所得税”という、前払い・仮払い的な性格の税金があります。
実際にはギャラなどから天引きされており、天引きした側(主催者など)があなたの税金を税務署に収めているので、音大生・音楽家自身が納めている実感はあまりないのですが・・・
この源泉所得税を納めている人の中に、
”本来支払うべき一年間の税額”よりも”源泉所得税の一年間の合計額”の方が多いために、確定申告をすることによって、
”その差額(払い過ぎということ)が税務署から戻ってくる(還付という)”
という人がいるということです。
(源泉所得税の還付については、のちほど、2.で違う角度からも触れます)
”確定申告をしなくてもいい”というのは、”しちゃいけない”というわけではないので、
”確定申告書を作る手間”
よりも
”戻ってくる金額”
の方が魅力的、という方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
2 確定申告の基礎を知ろう
さて、それではこのあたりで確定申告の基本的なお話をしていきます。
確定申告とは、ざっくり言うと、
- もうけを計算して
- 税金も計算して
- それを税務署に報告する
ということです。
ここでは、音大生・音楽家が知っておきたい基本的なポイントを整理しておきます。
2-1 もうけを計算する
まずは、もうけを計算します。
もうけとは、収入から経費を引いた金額のことです。
音大生・音楽家の場合、演奏料・ギャラ・謝礼・講師料などが収入になります。
そして、経費とは収入を得るために使った金額のことです。
音大生・音楽家の場合、交通費・楽譜代・レッスン代・楽器にかかる出費・スタジオレンタル代などが経費になります。
この”収入”から”経費”を差し引いた金額が”もうけ”になります。
そして、この”もうけ”のことを、専門用語で”所得”と呼びます。
2-2 税金を計算する
次に、もうけに税率をかけて税金を計算します。
個人のもうけにかかる税金を所得税というのですが、日本では、所得が高くなるにつれ税率も高くなっていくという、”累進課税精度”がとられています。
所得税の税率は、5%からスタートして、最高45%まで上がります。
国に支払う”所得税”のほかに、都道府県・市区町村に払う”住民税”というのがありまして、これは10%と決まっています。
なので、一番高い税率の人は、45%+10%=55%ということになります。
何億円もの年俸をもらっているプロ野球選手などが、インタビューなどで「半分以上税金ですからねぇ・・・」などと話しているのは、こういうことなのです。
このように、それぞれのもうけ(所得)に、それぞれの税率をかけて、”一年間の税金の金額”を計算します。
この税金の金額のことを、専門用語で”年税額”と呼びます。
2-3 税務署に報告する
一年間の税金が計算できたら、最後にいろいろな調整をして、税務署に報告をします。
音大生・音楽家の場合、代表的な調整は、”源泉所得税”の計算です。
源泉所得税については、さきほど1.でも少し出てきましたね。
あなたは、ギャラや講師料をもらう時に、”源泉”とか”源泉所得税”を引かれたことがありませんか?
10,000円もらえるはずだったのに、なぜか9,000円くらいしかもらえなかった、というアレです。
実はアレ、ただ引かれたり取られたりしたのではなくて、”源泉所得税”といって、あくまでも税金の前払い・仮払い的な性格のものなのです。
なので、確定申告の時に、”前払い・仮払いの税金の金額”として、
”一年間に引かれた源泉所得税の合計額”
を、さっき計算した、
”一年間の税金の金額(年税額)”
から引いてあげます。
こうすることで、
”確定申告をする時(2月とか3月あたりですね)に払う(または戻ってくる)税金の額(年税額ではない)”
が決まるのです。これを専門用語で「申告納税額」といいます。
ですから、さきほど1.でお話ししたように、もし、
”一年間の税金の金額(年税額)”
よりも、
”一年間に引かれた源泉所得税の合計額”
の方が多ければ、
”払うべき金額”
よりも、
”前払い・仮払いの金額”
の方が多いわけですから、
”税金が戻ってくる”ということになります。
これがいわゆる”税金の還付”とか”源泉が戻ってきた”とかいう、うれしいやつです。
このように、最後の調整次第で、「申告納税額」は、
- 税金を支払う
- 税金がゼロ
- 税金が戻ってくる
という3つのパターンにわかれるのです。
このように、収入・経費・所得・税額などを、数枚の用紙の所定の場所に記入することで、税務署に報告するというわけです。
3 おさらい
それでは今回のポイントをおさらいしておきましょう。
- 自分が、確定申告をする必要があるのかないのかを知っておこう
- 確定申告をする必要はないけど、した方が得するケースを知っておこう
- 確定申告とは、もうけを計算して、税金も計算して、それらを税務署に報告すること
ということでした。
あなたが得しそうなポイント、損しないで済みそうなポイントは見つかりましたか?
見つかった方は、ぜひ実際に使ってみてくださいね。
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